(一社)旅する学校が主催するプロジェクト型スタディツアーに本校の中学生、探究進学コース、フードデザインコース、美術コース、音楽コースに所属する生徒22名が参加してきました。
高校生が行う商品開発や現地勉強会を通じて、海の課題を自分ごととして定着させ、高校生が自走化して、次世代(地元の小中学生)に向けて、自分たちができるアクションを生み出していく場となりました。熊野市二木島町をフィールドに、高校生が、アドバイザー(商品開発・食品加工のプロ)、地元の漁師らとともに、商品開発のワークショップや、海の観察会、さらには、漁業体験や魚のさばき方技術の習得などを通じて、汎用性のある探究型教育活動を実施できました。

日程

 1回目 2024年7月21日(日)~2024年7月23日(火)
 2回目 2024年7月28日(日)~2024年7月30日(火)

開催場所

 熊野市二木島町周辺

参加人数

 1回目19名(県立津高校4名、県立尾鷲高校1名、県立紀南高校1名、三重高校4名、新渡戸文化高校9名)
 2回目15名(県立津高校2名、新渡戸文化高等学校13名)

協力団体

 生活協同組合連合会コープ自然派事業連合、株式会社大進食品、株式会社九里、マル松潜水CLUB、株式会社ゲイト

①商品化発ワーク
事前学習会にて、三重県沿岸で海の森(藻場)の減少が急速に進んでいる現状を学びました。そして藻場の減少(磯焼け)の原因の一つである、植食性魚類(通称:シーベジたべるフィッシュ)を美味しく食べるために、事前に学校で、商品レシピの試作を重ねて今回のイベントに参加しました。
今回は、複数の高校から1つのチームを編成し、1回目は4チーム、2回目は3チームに分かれ、それぞれのチームが事前に考えてきた植食性魚類の1種である「アイゴ」を使った試作品を作りました。各チームごとに、商品に込めた想いをプレゼンした後、試作品をアドバイザーに試食してもらい、プロの視点でのアドバイスをもらいました。
本校の生徒たちの対話力は全体をリードしていました。アイデアも素晴らしいものばかりで、大人の心を動かしておりました。

②藻場の観察
魚の流通の上流部分を知るために、地元漁業者の協力により、定置網漁体験を行いました。高校生たちは、早朝4時半の集合にも誰一人遅れることなく、実際に使われている漁の船に乗船して出港しました。現場では一緒に網あげを手伝い、帰港後には水揚げした魚を漁師さんからいただき、自分たちで獲った魚を自分たちでさばいて、朝食にしました。高校生たちは、米と味噌だけを自宅から持参し、おかずになる魚は漁でとれたお魚になることを事前に伝えていました。そのため、漁で魚がとれたことを素直に喜び、その魚を漁師さんから分けてもらえたことに感謝していました。さらには、自分で魚をさばく体験は初めての生徒が多く、自分でさばいた魚の味は格別だったようです。
次に、地元のダイビングショップの協力で、今回のメインテーマの一つでもある藻場と生物の観察を、スノーケリングにて実施しました。高校生の多くがスノーケリングは初めてという状況でしたが、浅瀬で練習した後、海中の観察を行いました。磯焼けをしているエリアは、ガンガゼが多い状況であるのに対して、藻場がある部分の生物の多様性が高いことは一目瞭然で、生徒たちの心を動かす体験となりました。スノーケリングの楽しさもあって、生徒たちは約2時間、時間も忘れて熊野の海の素晴らしさに触れていました。
夕食前には、二木島の歴史に触れる「二木島ウォーク」を実施しました。神社と神武天皇神話、昭和19年に起きた東南海大地震における津波を伝える石碑、熊野古道の散策、くじらの供養塔を巡りました。高校生たちは、漁村に残る歴史と文化に関心を高めていました。

③9月の小中学生対象のイベントに向けて
事前学習から今回の2泊3日で学んだことを生かして、9月に実施する三重県の小中学生向けのイベントに向けてのアイデア出しをしました。
まずは、ここまでの経験から、高校生として小中学生に伝えたいと思ったことを出し合ってもらいました。伝えたいと考えた内容はおおよそ以下の通りです。
・アイゴと磯焼けの関係性について
・アイゴを含めた魚の美味しさ(美味しくない魚はいないこと)
・定置網漁と魚を自分でさばくこと
・三重県の海の美しさ
・漁村の歴史や文化
・朝日や夕日、青い海と美しい星空、リアス式海岸
・自炊する大切さ

その後、上記の伝えたい内容を1泊2日のプログラムでどのように伝えていくか、イベントの詳細についてアイデア出しをしてもらいました。
スタンプラリーや、すごろく形式で、街全体を巡りながら、様々なメッセージを体験的に学べる工夫が出ていました。また、商品開発途中のアイゴの試作品を食してもらうことで、海の課題やアイゴの魅力を伝えていこうとするアイデアが出ていました。