こんにちは、NITOBE FUTURE PARTNER(NFP)*1の神薗です。

最近の気になるニュースや出来事に関して、新渡戸文化学園の先生にインタビューする企画です。
小学生や中学生の皆さんにも楽しんでもらえるようなお話をしてもらいます。
今回のテーマは、「数学」ということで芥隆司先生にお話を伺います。
中学受験直前ということもあるので、残りの期間の対策方法もお聞きします。

 

神薗:芥先生、こんにちは。先生は今、学校でどんなお仕事をされていますか?

 

芥:現在は、中1中3と高1の数学を担当しています。
また、中学校のチーム担任をしており、ラーニングデザインチーフとして
生徒向けの講習会や先生向けの研修会なども企画しています。
部活でバスケ部の顧問、ラボ活動は‘自分の好きを活かして、誰かの困ったを解決する’を
テーマにした「アートモヤモヤラボ」のサポートをやっています。

 

 

神薗:芥先生は他校でのご勤務経験もあると伺っていますが、
新渡戸文化学園と出会うまでのキャリアはどのような感じだったのでしょうか?

 

芥:大学の教育学部の数学科を専攻していました。
実はバスケチームに所属しながら、非常勤で6年くらい働いていました。
その後、専任になって2校経験した後に、2020年度から新渡戸文化学園に所属することとなりました。
新渡戸とのご縁は、山本先生や山藤先生とそれぞれ別のセミナーを通して知り合ったことがきっかけでした。
ちょうどその頃、前任校でチャレンジしていた「新しい学び方」をもっと広めたい、他校でも通じるのか?
といった挑戦をしたいと思っていた時期でした。

 

神薗:それぞれの学校で新しい教育実践をしていたからこそ、素敵な化学反応が起きたんですね。
「新しい学び方」とあったのですが、具体的にはどんな学びでしょうか?

 

芥:前任校でICT委員会が立ち上がり、iPadをいかした授業実践に取り組んでいました。
日本の数学教育は、点数という目標をつくって力をつけるということは得意だと思うのですが、
数学という学問自体を「楽しい!」「将来必要だ」と感じている生徒が世界に比べて、
圧倒的に少ないということに課題を感じていました。
iPadを生かしながら、数学を効率的に学ぶことの効率化をはかりながらも、自己肯定感を高めていき、
現代社会や自然界などの疑問も数学を通じて学ぶという創造性を大切にする授業を行ってきました。

その成果を評価され、Apple認定教育者(Apple Distinguished Educator、以下ADE)に認定され、
いくつかの外国の授業に足を運び見る機会がありました。
例えば、個別最適化された取り組みが同じクラス・授業の中で実施されていました。
子どもたちは、楽しそうにそれこそ、遊んでいるような感覚で学んでいたんですよね。
「これって数学なの?」という疑問がわくような授業でした。
でも海外の先生たちは、今やっている授業が子どもたちの学びにつながっていると
自信をもっておっしゃっていたんです。そういった授業を拝見する中で、
「ああこんな、HAPPYな授業があるんだな。」と、改めて実感したんです。

 

 

神薗:なるほど、そういった実践の積み重ねや海外での視察での裏付けもあって、
現在の新渡戸文化学園の授業があるんですね!
先日も少し見学させていただいた授業が数学なのに、
なぜか「音楽」がテーマになっていて、とてもびっくりしました。

 

芥:数学は実社会で使われている、どんな分野でも使われていることをもっと知ってほしいと思っています。
例えば、音楽だったら波形が三角関数になっていることが分かったりすることは、
まさにリアルにつながっているんだということを体感できますよね。
ある数学者が「音楽は感覚の数学であり、数学は理性の音楽である」という言葉を残しています。
数学には解決という側面と、創造という側面があります。
モヤモヤしたり、混とんとしていたり、すごい計算をやって解決したら意外にシンプルな答えだったりなど、
「もっと、数学は自由なものなんだ」ということや、
それぞれの生徒たちにとって「数学に取り組むということは、何なんだろう?」
ということを
感じてほしいと思って、授業を構成しています。

 

 

神薗:お話聞いているだけで、ワクワクします。
芥先生の授業を中高生時代に受けたかったなあと心から思います。
ぜひアドバイスいただきたい新渡戸文化中学校の算数の受験問題について質問をさせてください。
私も実際解いてみたんですけど、教科書でやるような基礎をしっかりやっていれば、
あとは自分の試行錯誤や創意工夫で解ける問題だなと思ったのですが、実際のところどうなのでしょうか?

 

芥:おっしゃる通りで、基本的な教科書の問題をちゃんとやってきたら
誰でも点数とってもらえるような構成にしています。
去年の問題を踏まえて考えると、特に大問1-2は基本的な問題ですよね。
大問3-4は自分なりに試行錯誤を繰り返してもらえれば、答えにたどり着く問題になっています。
大問5は、有名な「ABC予想」の問題をイメージして作ったんですけど、実は答えが複数あって、
その答えにたどり着いた理由もたくさん出せるような問題にしています。
問題と向き合って、自分なりのストーリーを語ってほしいという想いを込めて、作りました。


 

神薗:新渡戸文化学園の入試のコンセプトが「入試で育つ、入試で気づく」だと思うんですけども、
まさに自分の可能性に気づいてワクワクする問題だなと感じました。
受験まで、残りあと20日
となりました。対策に関しても、お伺いしてよいでしょうか。

 

芥:残り時間が限られていると思うんですが、ぜひ話す時間を作って、
「なぜ、この答えを導き出したのか?」という質問を保護者の方からしてほしいです。
「これはね、こんな風に考えて答えを出したんだよ」ということが
説明できるお子さんはしっかり理解されています。
5回同じ計算問題をやるよりも、1回誰かに説明したほうが定着すると考えています。
それをあえて、分数の計算のような基本問題でやってほしいなと思います。
そうやって、基本問題をちゃんと理解していれば、応用問題を解いたときに、
これは基本の寄せ集めなんだということが見えてきます。

後は、入試の過去問を3周はやるということですね。2周目は分からない問題だけでOKです。
最後の1周はもう一度全部やってみましょう。

 

神薗:残り限られた時間ですが、とても有益なアドバイスをありがとうございました。
最後に、新渡戸文化学園に興味を持っているお子さんや保護者の方へメッセージをお願いします。

 

芥:数学を楽しむ力は、すべての人にある力だと思っています。
数学に秘められているワクワクするストーリーを一緒に発見していけたらうれしいです。
ぜひ新渡戸文化学園で共に学びましょう!