中学校では、Nitobeコンピテンシーという新渡戸文化でつけてもらいたい力について学んでいく時間があります。2学期は社会の一線で活躍するゲストをお呼びして授業をしていただいています。
今回のゲストは医師の三宅琢さん。

三宅さんは、ちょっと変わった先生で、医者なのですが「治さない医者」と言われています。医者は病気を治す仕事だと思われるかもしれませんが、「治さない」とはどういうことなのでしょう。それには、三宅さんの生き方そのものに迫っていく必要があります。

三宅さんは外科医としての挫折や大切にな人を失ったとき感じた医療の限界から、医師としての生き方を変えたと言います。治らない病気になった時、人が人生に絶望しないためには何をすべきか。それにはその人自身や社会を変えていき、患者さん自身が自律して病気に向き合うことが大切だと三宅さんは言います。

例えば、三宅さんが作った病院は視覚障害者への支援施設として設計された施設であるにも関わらず、壁の変わりに段差を設置し点字ブロックや手すりを排除するなどこれまでの医療施設の常識を覆すものでした。事実、社会は障害物で溢れています。点字ブロックの上に放置自転車がある光景も珍しくありません。だとしたら、病院そのものを社会につなげて、患者さんが自律して生きられるようにしようと考えたのです。この考えは、新渡戸文化学園が目指す、自律型学習者の育成の考えに似ていませんか?
また、三宅さんは、医学博士、日本眼科学会眼科専門医、産業衛生専攻医、労働衛生コンサルタント、メンタルヘルス法務主任者。株式会社Studio Gift Hands代表取締役、公益社団法人NEXT VISION理事、東京大学未来ビジョンセンター客員研究員、産業医科大学訪問研究員・・・と働き方も多様で、一つの働き方にとらわれないからこそ、これまでの常識さえも覆し、社会の幸せを最上位に行動できているのでしょう。
参加生徒からは
「外科医という職業になるきっかけが素敵でした。苦手なことを活かせる環境を作る、職業にとらわれない。という言葉が今後の日本や世界に必要になってくる言葉だと思いました。ありがとうございました」
「北極星(自分の目標)探し頑張ります」
「職業に縛られない。これからの社会は、どんどんルールが変わっていくという言葉が心に響きました。」
「将来医者を考える中で医者に対する考え方が変わりました。」
「私はやりたいことがたくさんあって、将来どうするべきか悩んでいたけど、三宅さんの話を聞いて別に一つに絞らなくてもその時やりたいことをやればいいんだなと思いました。」
といった感想が聞かれました。授業後も生徒の質問に丁寧に答えていただき、生徒たちにとっていい時間になったようです。三宅さん、お忙しい中、新渡戸文化中学校の子どもたちのためにありがとうございました。