7月29日から31日にかけて、高校1・2年生19名(美術コース・フードデザインコース・探究進学コース)が参加し、三重県熊野市二木島でコース・学年融合型スタディツアーを実施しました。現地集合型というスタイルを取り、夜行バスで現地入りする生徒もいました。さらに今回は地元の県立高校から4名、奈良県の高校からも1名が参加し、学校を越えて同世代が学び合う3日間となりました。
3日目
この日は2チームに分かれて行動しました。1チームは、再び定置網漁へ。その後、自分たちがお手伝いしてとってきた魚の中で、流通にのせることが難しい魚を活用したレトルト加工商品へと加工する体験を実施。「もったいない」を新たな価値へ変える実践にも触れました。社会はこうやって小さく、でも確実に変えていくことができる実感も、ここでは感じとっているのだと思います。
もう一方のチームは、三重大学を訪問。大学の先生方や、現役の大学生との交流は、生徒たちの高校から大学時代への学びの延長を強くイメージできたようです。「2学期からはプロジェクト活動だけでなく、放課後は教科の勉強もしっかりやっていこう。」「U先生、N先生、放課後に数学の講習をお願いします。」そんな言葉が生徒たちの口から自然と出ていたのが印象的でした。そして、この時の生徒たちの目は、とても素敵な目の輝きをしていました。伴走をしているからこそ、次の一歩に進むために必要だと感じたことの声が聞けたことは、大切な時間でした。
ここで、特筆したいのは、参加した生徒たち全員の確かな変容を感じたことです。また、さらに驚いているのは、関わってくださった地域のみなさんや、伴走する私たち大人にも変容を感じているということです。
このスタディツアーを外から見ると、計画も現地での動きも、高校生が主導しているため、どこか「行き当たりばったり」のようにも映るかもしれません。ただ、その不完全さこそが、この旅の魅力なのかもしれません。
高校生たちは、大人が使う「地域創生、地域活性化、人口減少問題の解決、高齢化問題・・・」という言葉は一切使わず、この地域のために、何か自分たちにできることはないかと、試行錯誤しながら考え、失敗し、相談し、挑戦しています。その姿を見ている地域の皆さんは、「大丈夫かな」と少し心配しながらも、いつの間にか自然と手を差し伸べ、気づけば一緒にプロジェクトの当事者になっているように思います。
この生徒も地域も変容する現場の当事者になった私たちも、学校や教育の可能性、高校生の可能性を感じ、これからの教育と改めて向き合う機会ともなっているのです。
「地域課題を解決する」という言葉では表しきれない時間と活動が溢れていました。高校生が地域に貢献したのではありません。高校生も地域の皆さんも、一緒に笑い、一緒に考え、一緒に喜び合う。その時間そのものが、新しい文化を生み出していたように感じます。この地域の孫に、生徒たちはなったのかもしれません。
もうひとつ、印象的だった場面がありました。
最終日、定置網漁で大きな本マグロが水揚げされ、船上は大歓声に包まれました。高校生が興奮するのはもちろんですが、一番うれしそうに笑っていたのは、毎日海に出ている漁師さんでした。
そんな景色の中で改めて感じたのは、教育とは「教えること」ではなく、「人と人が出会い、互いに変わっていくこと」なのではないかということです。
二木島は、新渡戸文化高校がスタディツアーを通じて長年ご縁をいただいてきた地域です。新渡戸文化の教員が関わり続け、そして何より、高校生たちが代を超えて通い続けてきました。ここ数年は、卒業生も関わりを持っています。
小中学校が休校し、実質、学校がなくなってしまった漁村に少しずつ新しい風が吹き始め、地域も高校生も、お互いに影響を与え合いながら変化を続けています。
教育は、学校だけで完結するものではありません。地域もまた教育の場であり、地域もまた高校生によって元気を取り戻していく。誰かが誰かを育てるのではなく、誰もが誰かによって育てられている。
そんな新しい教育の風景が、二木島には確かに広がっていました。




