高校探究進学コースでは11/9(日)-11/15(土)の期間の中で、全国19箇所でスタディツアーを実施しました。各エリアの内容や感想を生徒にまとめてもらしましたのでご覧ください。

今回は愛媛県松野町のスタディツアーをお伝えします。

私たちは、愛媛県松野町目黒という人口約270人の小さな集落に、4泊5日で訪れました。羽田空港から飛行機や電車、バス、さらに車を乗り継いでたどり着いたこの場所は、自然と人が暮らしの中で寄り添う特別な場所でした。

目黒では、自然が生活の一部として息づいています。朝は澄んだ空気で目が覚め、昼は山の緑が光を吸い込み、夜には満天の星空が広がります。家庭菜園のように、どこの家でも行われている畑で採れた野菜や山菜が食卓に並び、家を出れば土や草、柿の香りが漂います。そのひとつひとつが、自然と暮らしの結びつきを教えてくれました。

ふるさと館では、目黒町と二郎村の境界争いの歴史を学びました。お互い一歩も譲らず藩まで話が広がり、最終的に幕府に判断を仰ぎました。その際、模型や絵図を協力して作り、無事に境界が定められたそうです。当時の人々にとって、山は暮らしそのものだったのだと感じました。ちなみに、ふるさと館には秋篠宮文仁様も訪れたことがあります。
この話を通して、当時の人々が山を大切にしていた心が、今の目黒の暮らしにも受け継がれていることを実感しました。

訪れて特に印象に残ったのは、目黒川上流の滑床渓谷です。目黒川は「日本最後の清流」と呼ばれる四万十川の支流の一つで、源流域に位置します。澄んだ水が岩を滑るように流れ、木漏れ日が反射してキラキラ光る景色はまるで別世界のようでした。雪輪の滝では、水が白い輪を描きながら落ち、静けさと力強さが同時に感じられます。自然の中にいるだけで、心がゆっくり整うのを実感しました。

滞在中は、鳥の声で目が覚め、夜には満天の星空を眺める日々でした。地域の方々との交流では、「人とのつながりを大切にすること」「今の行動は未来につながること」といった暮らしの中から生まれた言葉をたくさん教えていただきました。また、農業体験で素手で泥に触れ、大地の感触を感じる体験から、「アーシング」の大切さを実感し、自然とのつながりをより身近に感じることができました。

松野町目黒は“限界集落”と呼ばれますが、自然も人も時間の流れも豊かで、都会ではなかなか味わえない大切なものにあふれています。家の前の小川で遊ぶ子どもたち、収穫した野菜を「持っていきな」と渡してくれる優しさ、夕暮れ時に地域全体が穏やかになる時間、人とのつながりを表す「森コイン」——そのすべてが心地よく、私たちもこんな人たちと暮らしたいと強く思いました。

松野町目黒は、多くの人に知ってもらいたいと思う一方で、独り占めしたくなるほど特別で温かい場所でした。今回のスタディツアーで得た学びと出会い、そして自然と共にある暮らしの豊かさは、これからの私たちの生き方に確かな指針を与えてくれました。