美術コースは、11月実施のスタディーツアーで、3泊4日の日程で、奈良を中心に、日本の伝統的な美術に触れる旅に出かけました。

初日は、京都府南部の奈良県との府県境に近い木津川で開かれていた「木津川アート」と呼ばれる現代アートのイベントを訪ねました。こちらは、古美術ではありませんが、昨年度訪ねた新潟県の現代アートのイベントに続いて、作品に触れるだけではなく、美術と地域について考えることになりました。

2日目からは本格的に日本の伝統的な芸術・本物に触れる旅となりました。2日目は、班ごとに事前に自分たちが興味のあることを選んで行動しました。

奈良伝統の一刀彫り、古くから寺院や宮殿建築などを通じて営まれた伝統的な瓦制作に繋がる鬼瓦造り、元興寺文化財研究所での文化財修復についての学び、今年、修復作業に入った奈良のランドマークである興福寺五重塔の修復工事に携わる江戸時代から続く宮大工・尾田組さんからのお話、奈良国立博物館の見学といったものの中から選んだ探究活動を1日使って行い、興福寺国宝館は全員が見学できるように手配しました。

学校の修学旅行などで奈良に行って、全員が東大寺大仏殿を見学しないプログラムはなかなか無いのではないでしょうか。そして、夜は、飛鳥時代の瓦が今も一部現役で使用されている元興寺に特別にお邪魔させて頂き、法話や座禅の体験をしました。

3日目は、奈良の伝統的焼き物である赤膚焼の絵付け体験と世界最古の木造建造物である法隆寺を見学しました。赤膚焼の窯元では、絵付け体験だけではなく、その歴史から土や焼き物を実際に焼く窯を前に窯についての説明を現在の御当主の方からお伺いすることができ、焼き物の知識を得ることが出来ました。

そして午後には、法隆寺を訪れ、日本最古の木造建造物や法隆寺にある数々の仏像や宝物を見学することができました。1,000年以上もの間、天災や戦災から長く守られてきたことは奇跡的なことです。

最終日の4日目は、京都の自由行動です。こちらも、ただの観光ではなく、事前に学校で、紹介した伝統的な作品に触れることのできる場所をあらかじめ調べていた場所に繰り出し、清水寺・高山寺・三十三間堂や美術館など、思い思いの場所を訪れました。

本物に触れて見ることでしか分からない大きさや細かい部分などに接することで、今後の自分の創作活動にインスピレーションを与えられていたらと思います。

尾田組さんインスタグラム
https://www.instagram.com/p/C0K9n_IPKRx/?igshid=MTc4MmM1YmI2Ng==

また、興福寺五重塔修復工事の現場でお話を伺った尾田組さんが、本校の生徒たちが説明を受けている様子をインスタグラムで紹介してくださいました。よろしかったらご覧ください。

古都・奈良の景観や文化財が、古くからの建築技術などを継承されている尾田組さんのような方々の長年の努力などによって支えられていることを知ることができました。

生徒たちは、実際に当時の技術を目の当たりにし、感嘆の声をあげていました。尾田組さんのインスタグラムにその時の様子がアップされていますので、是非ご覧ください。

事前学習で、東京藝術大学の文化財修復が専門の岡田先生のお話を伺い、今回のスタディーツアーで、実際に第一線で活躍されている方々のお話を伺い、文化財修復にも興味を持つようになった生徒もいます。

美術コースの生徒一人ひとりが、多様な学びを選択し、探究していけるのが新渡戸文化高等学校美術コースの良さであり、大きな特徴になっています。ご興味のある方は是非、本校まで足をお運び頂けたらと思います。