中学3年生の社会科の授業では、歴史的事実を自らの言葉で論理的に説明できるようになること、を年間の目標の一つとして設定しています。高校進学を見据えてアカデミックライティングの練習を意識しています。今回、解説する語句は「絶対王政」。単に授業で学んだことを暗記して、羅列するのではなく、その原因・経過・結果と影響、いつ(時間軸)、どこ(空間軸)を意識して、過不足なく分かりやすい解説文を作成するという挑戦です。本校の学びの特徴は、ツールをただ使うのではなく、ツールを「使いこなす」こと。今回は、話題のスクールAIを活用して、自身の作成した解説文をブラッシュアップしていくという授業を実施しました。
生徒たちはまず、授業で学んだ内容をもとに、プリントに手書きで解説文を作成します。その際に、「絶対王政を説明するために必要な要素を意識して構成しよう。」と教員から促しています。そこからがAIとの協働です。生徒が作成した原稿をAIに読み込ませると、AIは、必須要素が入っているか、空間軸と時間軸の情報が書かれているか、論理的な構成になっているか、などの観点から、作成した解説文の良い点と改善点を次々と提示してくれます。例えば、「「13世紀」とありますが、その時期は適切かもう一度考えてみましょう。絶対王政が本格的に成立したのは、何世紀ごろでしょうか。」「内容はまとまっていますが、「どのようにして」「どのような仕組みで」強い権力を持ったのかがあると、より説明らしくなります。」というようなフィードバックがあり、生徒はその内容を一つひとつ吟味し、資料集や授業で配られたプリントをもとに情報を補足したり、構成を練り直したりしながら、納得のいく解説文を完成させていきました。
ある生徒は「情報量が不足しているところを指摘してくれたおかげで、どこを掘り下げればいいのかが明確になりました。文章量についても具体的なアドバイスをもらえたので、とても分かりやすい構成に仕上げることができました」と、AIとの対話を通して思考が深まる喜びを語ってくれました。多くの生徒が、最初に自分で作成した文章に比べて、AIとの対話で再構成した文章は、適切な語句が選択され、情報量も増え、なおかつ読みやすい文章となっていました。
この活動で生徒たちが身につけているのは、まずは自分の手でプロトタイプを作るという「主体的な姿勢」、そして、AIからのヒントを活かしつつも、最後は自分自身の言葉で「完成させる」という、新渡戸文化が大切にしている「自律的な学び手」としての姿勢です。
AIに頼り切りになるのではなく、AIを頼れるパートナーとして活用し、最後は人間が意志を持って完成させる。情報があふれる現代だからこそ、自分のフィルターを通して情報を再構築する力が重要になります。歴史という人類がこれまで紡いできた膨大な経験を、デジタルという最先端のツールを使って自分の中に落とし込む。生徒たちの探究心は、これからも教室を飛び出し、さらなる高みへと続いていきます。今後も彼らがどのような視点で歴史や社会を見つめ、新しい学びを形にしていくのか、私たち教員も楽しみにしています。


