新渡戸文化中学高等学校では、週に1度、クロスカリキュラムと呼ばれる探究の時間があります。この日は、通常の授業をせず、生徒が選んだテーマに基づいて作られたラボと呼ばれるグループで活動しています。後期は生徒の探究テーマに、「社会を幸せにする」観点を加えた「チャレンジ探究」を行なっています。
<参考記事>
教えない授業がある学校 「好き」に向き合う新渡戸文化学園
https://www.nhk.or.jp/shutoken/wr/20210422a.html

今回はNittobe Future Adviser (https://nitobebunka.ac.jp/about/nitobe-future-adviser/ )の皆様と探究していくNitobe Future Laboのフィールドワークの様子を紹介します。

11/17には、日本環境設計のペットボトルのケミカルリサイクル工場(ペットリファインテクノロジー川崎工場)を訪問しました。新渡戸文化中学高等学校の探究は1日通して行えるので、こうしたフィールドワークを授業時間内に行えるのが強みです。

日本環境設計は、東京オリンピックのメダルやユニフォームのリサイクル技術に協力している会社で、ペットボトルや洋服の再生技術では世界的に注目されています。今回訪れた工場では、ペットボトルを原子レベルまで分解し、再融合して新たな素材を作る化学的な技術を持つ工場です。日本環境設計の岩元美智彦会長から直接施設の案内やリサイクルの仕組みを学び、資源の新たな可能性を感じたようです。

<中学生の感想>
今日見学に行かせていただいて1番印象に残ったことは岩元さんが環境問題をポジティブに捉えられていたことです。
私が見たり考えたりする環境問題への取り組みには、制限や0%という言葉が多く並んでおり、岩元さんがおっしゃっていた「楽しく環境問題へ取り組む」という考えを初めてもちました。ジェット機を飛ばしたり、デロリアンを走らせたり、など“ワクワク、ドキドキ“するようなイベントが「みんな参加型」の大勢を巻き込んで行うには必要なことなのだと思いました。
環境問題の裏にある経済成長の問題についても、今までとても疑問に思っていました。しかし、今後は地下資源よりも地上資源を循環させながらプラスチックを再生したほうが値段が下がると予想されていたことに驚きました。
蓋を開けて見れば「プラスチック=環境に悪い」というマイナスなイメージが消え、みんなで循環させていくことで資源は無限に使えるのだとわかりました。
地下資源を使うことは環境への負担だけではなく争いにも関わっていることを知らず、石油で燃やしてしまうことがいかに世界に悪影響を与えているのかがわかりました。岩元さんの社会問題に対する姿勢を私も見習い、前向きな気持ちを忘れず、今後の社会問題について学んで行きます。

<高校生の感想>
まず、あの粉砕したペットボトルを入れる場所で衝撃を受けました。とても広いスペースを使っても、1,2階が埋まるほどの量があり、これが一ヶ月分ちょっとの量ということで、一年ではあの12倍弱の数が使われていると聞き自分達の使って一量がとても多いことに驚きました。また、あの量でも日本全体で見た時には2%程の量しかなく、全国の一年分となると600倍の消費がされているとなり、これだけの石油が使われているとわかりましたが、量が多すぎて逆に想像しにくかったです。また、あの大きさの工場に対して作業員が6人という少数であることを聞き、手をかけることが少なく整備がしっかりされているのだと感じました。

岩元さんのスライドより、まず主語を決めることは会社の経営としては一番重要なのかなと最初に思いました。主語を「生活者」と決めることにより、目標の最終地点が主語の周辺に収束すると考え効率的なやり方だなと感じました。 普通のリサイクルでは、一回しかリサイクルができないがケミカルリサイクルだと?回のリサイクルができると聞き、このリサイクル方法はこれからとても需要が上がり注目されていくのかなと感じました。また、このリサイクル法ではペットボトル一本からペットボトル一本分と大差のない量が取れるため、ペットボトルを新しく作る必要性がなくなってくることが驚きました。また、この費用も石油から作るよりも安くなることがあり、大きい工場にしていけば石油の価格を下回れるので、元々リサイクルは価格が高いと思っていたのでとてもリーズナブルというところにも驚きました。ですが、このリサイクルは透明なものでないとできず、日本では大半が透明なので出来るが海外だと色付きのペットボトルも多いためこの手法ではできないという問題もあることがわかりました。