7月29日から31日にかけて、高校1・2年生19名(美術コース・フードデザインコース・探究進学コース)が参加し、三重県熊野市二木島でコース・学年融合型スタディツアーを実施しました。現地集合型というスタイルを取り、夜行バスで現地入りする生徒もいました。さらに今回は地元の県立高校から4名、奈良県の高校からも1名が参加し、学校を越えて同世代が学び合う3日間となりました。

2日目
 2日目は、お魚の流通の流れを見学する流通チーム、二木島の伝統料理のひとつである「えごまのぼたもち」をつくるチーム、熊野古道の調査チーム、二木島の空き家を調査するチームの4チームに分かれて活動しました。早朝から活動したのは、流通チーム。定置網漁に乗船し、その後は市場や加工業者を訪問。魚が海から食卓へ届くまでの一連の流れを視察・取材して地域産業全体を体験的に知ることで、水産業の理解を立体的に深めていきました。自分たちがお手伝いした漁でとれた魚が、セリにかかることも体験。仲買のみなさんも、市場の皆さんも、訪問する私たちを好意的に受け入れてくださり、セリに混ぜてもらいながら、水産業の魅力を語ってくださいました。
 市内の水産加工の企業では、実際に市場で競り落とした魚たちを手際よく捌いて、お刺身の柵づくりから、干物まで、見事に加工されていきます。実は、これらの加工品は全て無添加。新鮮さと本来の魚の魅力を大切にしている加工場のみなさんの想いに感動。みなさんがこの地域と、魚を愛し、消費者に美味しい魚を届けようとしていることが、どの従業員の言葉にも溢れていました。切り身などの切れ端を試食もさせてくださいました。今までに食べたことのない新鮮な旨みに、全員で感動。この味は、ここでしか味わえない価値を感じました。

 他に「えごまのぼたもちチーム」は、かつてはお祝い事で必ず作られていたものの現在では作られなくなってしまったという「えごまのぼたもち」の復活を目指して90代のおばあちゃんたちから作り方を教えてもらいました。「熊野古道チーム」は、熊野古道を案内していた80代のおじいちゃんを取材し、その後は現地を調査。「空き家調査チーム」は90代のおじいちゃんと一緒に街歩きをしながら、今は空き家になった家が昔はどんなお店だったのか、どんな人が住んでいたのかを聞き書きしました。

 全てのプログラムは、過去の訪問からの延長により、生徒たちが主体的に構成しています。例えば、地域の婦人会活動が少なくなる中で、いつしか作られなくなってしまった伝統料理のえごまのぼたもち。前回、5月の訪問の際、「また食べたいなあ。」というおばあちゃんの何気ない一言を聞いていた生徒のひらめきから、この挑戦は始まりました。おばあちゃんから作り方を教わりながら地元の皆さんと一緒にぼたもちを作り、完成したぼたもちを地域の方々へ配って歩きました。
 伝統文化を「保存する」のではなく、人と人との関わりの中で「もう一度暮らしの中へ戻す」。そんな時間が、地域にも高校生にも新しい喜びを生み出しているようでした。長い時間、この地域に当たり前にあった文化を、今回の訪問により、伝承とまでは行かないまでも、受け取り、その記憶を延長させることができました。
 歴史に自分が関わることができたという実感は、生徒たち一人ひとりのあり方や、命の使い方と向き合う、大切な時間となっていたと感じます。